こんにちは、パーソナルジム 船橋 INSTITUTE トレーナーの中田です。
今年も夏が近づいてきて、最高気温が35度を超えるような地域も出てきた今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
今回はそんな “暑さ” について解説させていただきます。
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さて皆さん、熱中症が多く発生する時期というのはご存じでしょうか?
実は主に2つあります。
一つ目は、7~8月の気温が高い時期。
真夏日(30度以上)徐々に増え始め、猛暑日(35度以上)には、熱中症による緊急搬送が急増すると言われています。
これはイメージ通りだと思います。
そして二つ目。
これは、梅雨明けのまだ本格的な夏を迎えたわけではないですが、徐々に暑くなってきた時期。
具体的には6月下旬から7月上旬です。
実はこのタイミングでも熱中症が頻出するのです。
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では、なぜこのタイミングで熱中症が増えるのでしょうか?
これはズバリ「身体が暑さにまだ慣れていないから」です。
この6月下旬から7月上旬の時期は身体がまだ暑さに慣れていません。
すると、汗が上手にかけない、また、汗がかけないことで暑さに見合った放熱量が得られず、体温をうまく調節できないなど、の問題が生じます。
そのため熱中症が増えてしまうのです。
ただ、暑い日が続くと、身体が次第に暑さに慣れていき、熱中症のリスクも低減していきます。
この現象を「暑熱順化」といいます。
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暑熱順化についてもう少し詳しく解説していきます。
まず、効果についてです。
身体が暑さに慣れる=暑熱順化が行われると、どのような効果があるかと言いますと…
①発汗機能の向上
まず、どうして汗をかく必要があるのかと言いますと、汗には『気化熱:汗が蒸発する際に奪う熱』によって、体温を下げ平熱を維持しようとする働きがあるためです。
暑熱順化が行われると、発汗が早く始まり汗の量が増加します。
また、汗のナトリウム濃度が30~40%低下し、ミネラルの損失を抑えることもできます。
②皮膚血流の増加
暑熱順化により、皮膚への血流が増加します。
この働きにより、効率的に熱を体外へ放散できるようになり、深部体温(コア体温)の上昇を防ぐことができます。
③体温調節の改善
暑熱順化すると、高温な環境でも安定した体温調節が可能になり、熱中症リスクを低下させることができます。
④倦怠感や疲労感の軽減
暑さになれることで、暑さそのものに対するストレスが軽減され、身体的・精神的疲労感を減少させることができます。
以上のような効果が期待できます。
次に、暑熱順化にかかる期間についてです。
一般的には5〜10日程度、暑い環境に身を置くことで順化が始まり、完全に順化するには、およそ2週間程度必要だと言われています。
また、暑熱環境下で運動や作業をしなければならない場合、毎日30〜90分程度の暑い環境での活動が効果的です。
ただ、1週間〜数週間で順化の効果が薄れていくので、定期的な暑い環境での活動を継続することが必要になってきます。
最後に暑熱順化を進める具体的なスケジュールについてです。
以下はあくまでも一例ですが…
【Day 1〜3】:慣らし期間
• 運動時間:30〜45分
• 内容:ウォーキング、軽いジョギングなど(心拍数50〜60%程度)
• 目的:体温調節機能の刺激、軽い運動で発汗を促す
【Day 4〜6】:負荷アップ期間
• 運動時間:45〜60分
• 内容:ジョギング、やや負荷の高い運動など(心拍数60〜75%)
• ポイント:汗の量や汗をかき始めるタイミングの変化を確認する(早くなっていれば順化が進行中)
【Day 7〜10】:順化を定着させる期間
• 運動時間:60分前後
• 内容:高強度インターバルトレーニング、通常強度の運動(心拍数75%以上)
• 目的:暑い中でのパフォーマンス向上
以上のようなスケジュールで暑熱順化を進めることがオススメです。
ただ、注意点として…
・暑熱順化は無理をすると逆効果であり、熱中症のリスクが高まることもある。
・水分とミネラル(塩分)の補給と適切な休憩を取りながら行う。
という2点も頭に入れながら取り組む必要があります。
いかがでしたでしょうか?
一概に暑さに慣れると言っても、このような効果や慣れるまでの期間、具体的な方法論まで確立されているのです。
今年の夏に向けて暑さに徐々に慣れていき熱中症にならないように、そして暑い中での運動を楽しめるようにしてみてください!